Realisticdreamer#1_誰も経験したことのない未来

こんにちは、関西創価高等学校教頭の佐藤進です。
タイトルの「Realisticdreamer」は、私が本校に10期生として入学したときに創立者からいただいた指針「足は大地につけて、瞳は未来に向かって」から発想しました。足は「現実」という大地にしっかりとつけながら、瞳は「まだ見ぬミライ」を見つめて、仲間と力を合わせて「夢の実現」のために果敢に挑戦していく「学園生」の姿をイメージしています。

最初の投稿は、先日、高校1年生の学年保護者会でお話させていただいた内容をベースに書かせていただきます。

6月6日の読売新聞の一面に次のような見出しが出ました。
「出生率最低1.20 昨年8年連続減」「出生数最小72.2万人」
厚生労働省が2023年の日本人の人口動態統計を発表し、「合計特殊出生率」が1947以降過去最低の1.20となり、8年連続で低下するとともに、出生数も過去最少の72万7277人であったという内容です。

少子高齢化は日本の課題の一つですが、政府も対策に苦慮しているようです。様々な対策を講じていますが、これといった効果は出ていません。
このまま、人口が減少し続けると2050年ころには9512万人にまで減るという試算もあるようです。

また、この時の年齢構成はどのようになっているかというと、私が小学校時代に社会の時間に教わった「人口ピラミッド」は、まさに、「ピラミッド」の名前が示すとおりに、きれいな三角形をしていましたが、2050年の我が国の人口ピラミッドは「つぼ型」という、若い世代になるほど減少していく形になると予想されています。その時の、高齢化率はなんと「39.6%」。社会の実に4割近くが「65歳以上」の高齢者です。

いま高校1年生が、今の保護者のみなさんと同じ、40歳代になるのがまさに2050年。
私たち世代が、全く経験したことのない社会を生き抜くための「力」を今の高校生世代は求められていることになります。

さらに、これからの社会の変化で注目せざるを得ないのが、「AI(人工知能)の急速な進化」です。昨年の年頭から一気に話題になった「ChatGPT」ですが、以来、本校でも様々な場面で活用の方法が模索されています。
先日は、本校noteの別のページで「探究の授業の『問い』(リサーチクエスチョン)作りにChatGPTを活用してみた」という記事が掲載されていました。

ソフトバンクグループの孫正義社長は、昨年10月、「AIは進化し、今後10年以内に全人類の叡智の10倍を超える人工知能(AGI・・汎用性人工知能)が生まれる、と発表をしたそうです。
今から10年というと、今の高校生が大学を卒業して、まさに社会人としてスタートしている頃。「AIの同僚」とともに仕事をするという未来も、単なる空想ではなく、現実になりそうな状況です。

私たち、大人(保護者・教員)は、自分たちの経験に基づいて、あるいは自分たちが根拠としてきた「価値基準」に従って、子どもの未来を考え、「よかれと思って」アドバイスをします。でも、これまで見てきたように、今の高校生がこれから歩んでいくことになる「ミライ」は、私たち大人が全く経験してこなかった社会です。
そんな、高校生に有効な「アドバイス」って私たちにできるのでしょうか。
私たちは、我が子に(目の前の生徒に)「どんな力」をつけてもらいたいのでしょうか。